JFMC24-9701 (特定研究24)

タイトル;非小細胞肺癌における骨髄中サイトケラチン陽性細胞(micrometastasis)の検出と手術予後との関連に関する研究

集積期間;1997.2~1998.9

集積症例数;365症例

解析対象症例数;351症例

中間報告書提出:2001.12

研究デザイン;

  • 病期(Ⅰ期/Ⅱ・ⅢA期)および骨髄中サイトケラチン陽性細胞(以下、BM-CK細胞)の陽/陰性の組合せにより
    • (A群) 病期Ⅰ期 ・・・・・・・・ BM-CK細胞陽性・・・・・ 経過観察
      (B群) BM-CK細胞陰性・・・・・ 経過観察
      (C群) 病期Ⅱ・ⅢA期・・・・ BM-CK細胞陽性・・・・・ 治療の制約なし
      (D群) BM-CK細胞陰性・・・・・ 治療の制約なし

結果;

  • 2001年4月現在(集積終了時より約2.5ヵ年)における中間解析の結果は
    • (1)3年生存率はA、B群それぞれ87.6%、88.5%(logrank p=0.787)で、C、D群それぞれ35.9%、63.6%(logrank p=0.015)であった。
    • (2)3年無再発率はA、B群それぞれ80.9%、83.9%(logrank p=0.587)で、C、D群それぞれ38.3%、47.7%(logrank p=0.067)であった。
      Ⅱ・ⅢA期ではBM-CK細胞陽性群は陰性群に比べて予後不良であったが、Ⅰ期においては有意差はなかった。
    • (3)BM-CK細胞陽性率は病理病期Ⅰ期において31.1%、Ⅱ・ⅢA期において33.3%であった。

考察;

病理病期Ⅰ期症例ではBM-CK細胞の陽陰性は予後との相関は認められなかった。Ⅱ・ⅢA期の症例ではBM-CK細胞陽性例は陰性例よりも予後不良であることとはどのように整合性を求めればよいのか、検討の必要がある。骨髄中のサイトケラチン陽性細胞の検索そのものに問題があるのではないかと考え、所属リンパ節のサイトケラチン陽性細胞と予後との関係を付加的に研究した結果、病期Ⅰ期の陽性率は15.7%(34/216)であり、リンパ節サイトケラチン陽性細胞(LN-CK細胞)の有無は手術予後に相関することを認めた[3年生存率;LN-CK陽性例75.5%、陰性例90.2%(logrank p=0.005)。3年無再発率;LN-CK陽性例63.1%、陰性例86.8%(logrank p=0.001)]。また、多変量解析においても独立した予後因子であった。この知見はmicrometastasisの検出に有用な情報を提供するものであろう。