当財団のデータベース事業支援委員会では、過去に実施した臨床試験のデータを統合し、研究課題を公募して解析を行う体制を整えております。今回ご紹介する研究成果も、この取り組みから生まれたものです。
本研究は、当財団が過去に実施した7つの大腸癌術後補助化学療法試験のデータを統合し、高知大学の前田広道先生を中心に解析が行われました。大腸癌の中でもT1/T2かつリンパ節転移陽性(N+)の症例は比較的少なく、「術後に補助化学療法を行うべきか」について、研究者の意見は分かれていました。
本研究では、Propensity Score Matchingの手法を用いて患者の背景を調整し、手術単独群と補助化学療法群の予後を比較しました。その結果、無再発生存期間(RFS)におけるハザード比は、5-FU治療群で0.79、L-OHP治療群で0.64となり、有意差はないものの、補助化学療法群でわずかな改善が認められました。今後の症例蓄積や解析手法の発展により、より明確な治療効果の評価が期待されます。
本研究成果は、稀少症例に対してもデータを集積し科学的知見を形成していく重要性を示すものであり、T1-2 Stage III大腸癌における治療選択の一助となる貴重な情報です。
詳細につきましては下記の原著論文にてご覧いただけますので、ぜひご一読ください。
Efficacy of Adjuvant Chemotherapy for T1-2 Stage III Colorectal Cancer