(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.17
 
今月のコラム
 
草野 満夫氏

がん集学的治療研究財団
評議員
静和記念病院 (札幌)
院長 草野 満夫

わたしのセレンディピティ

 フレミングのペニシリンの発見が有名だが、ノーベル賞を受賞した研究の中にも、セレンディピティによってもたらされたものが多くある。実験の失敗やあるいは予期せぬあるいは意図せぬ偶然の幸運、セレンディピティが後世に大きな貢献をもたらす発見につながったという事実は少なくない。
 昨年の7月,徳島大学消化器外科教授の島田先生が主宰された第71回日本消化器外科学会総会のメインテーマは「外科の矜恃」Orthodox & Serendipityであった。演題に一つに九州大学外科から”がんの匂いの特徴に関する研究、匂いによって90%を超える精度で早期を含む大腸がんの検出ができる“という発表があった。癌探知犬でがん患者の尿を嗅いで診断する方法である。この研究の背景にはセレンディピティ的な気づきがあったのではないかと推測している。
 私事で恐縮であるが、セレンディピティと思える経験が2つある。1つは、旭川医大時代に恩師の水戸教授の発案である脾臓への肝細胞移植によるあらたな肝機能補助への挑戦である。ラットではあるが、脾臓を肝臓化するという臓器そのもの再生に成功した。この奇想天外とも思える恩師の発想には心底驚いた。もう1つはICG蛍光法との出会いで、2005年に開催された第13回CLINICAL VIDEO FORUM で、当時慶応大学外科教授の北島先生から小生の専門外の乳がんのセッションの座長を仰せつかった時の事である。ICG蛍光法による乳がんのSLN同定法の演題があった。直ぐさま、消化器癌への応用をひらめいた。犬の腸間膜にICGを注入したところ、目的とするリンパ節も光ったが、そのとき肝臓もなぜか真っ白な蛍光を発し、肝臓も光ったのである。これを出発点に、肝手術時の区域染色法に発展させた。古くから肝の予備力検査試薬として使われていた1バイアル600円程度のICGがこれほど威力を発揮するとは予想外であった。この10年の間にICG蛍光法は広く普及し、脳外科手術用の顕微鏡、蛍光硬性鏡を用いた腹腔鏡下手術、手術ロボットダビンチにも搭載されている。5-ALAという蛍光物質は脳腫瘍を光らせる。
 パスツールがこんな言葉を残している「観察の領域において、機会は準備のできている精神だけを好むのです。」(別の言い方では幸運の女神は、常に準備している人にのみ微笑む)つまり自然科学におけるセレンディピティのポイントは「準備のできている精神」だという。自分の使命に対して純粋な情熱をもって捲まず弛まず努力し続けた先に、人それぞれのセレンディピティが待っているということかもしれない。私にもたらされたそれは、準備ができていたとは言い難いことを思うと、セレンディピティというよりも、“pennies from heaven”(思いがけない恵み)、くらいのものかもしれないと思っている。
 癌治療においてもこのようなセレンディピティ的発想からのあらたな展開を期待したい。

 
   
JFMC50-1701-C6  新規臨床試験を開始します!

会場風景1

去る平成29年4月28日(金曜日)にJFMC50-1701-C6新規臨床試験の説明会を開催させて頂きました。当日は大変多くの先生方にご参加を頂き、誠に 有難う御座いました。
試験開始は本年6月を予定しております。
多くのご施設の参加をお待ちしております。

研究課題;ロンサーフ(TFTD)使用症例の後ろ向き観察(コホート)研究

※本試験についてのお問合わせ先はこちらまでご連絡下さい。

 
 
 
第13回理事会を開催しました!

平成29年5月11日(木)に当財団の第13回理事会が開催されました。本理事会では下記の審議事項及び報告が行われました。   

会場風景1
 
会場風景2
審議事項:
第一号議案:平成28年度事業報告並びに決算について
第二号議案:平成29年度一般研究助成事業について
第三号議案:臨床効果データベース整備事業について
第四号議案:委員会委員選定(補充)について
第五号議案:評議員会招集の件
第六号議案:その他

報告事項:
1. JFMC50-1701-C6、新規臨床試験(JFMC51-1702)について
2. 今後の会議日程について
3. その他

 

★過去の理事会議事録についてはこちらからご覧ください
★今まで行われた当財団の事業報告についてはこちらからご覧ください(詳細がPDFでご覧いただけます)
 
IDEA統合解析結果 ASCO2017プレナリーで発表予定

JFMC47-1202-C3試験ACHIEVE Trialが参加しております世界6試験(SCOT・TOSCA・CALGB/SWOG80702・IDEA France・ACHIEVE・HORG)からなるIDEA (International Duration Evaluation of Adjuvant chemotherapy) 試験の統合解析の結果が、2017年6月2日~6日シカゴで開催されますASCO 2017 ANNUAL MEETINGにおきましてプレナリーセッションで発表されることとなりました。

日時:2017年6月4日(日)  PLENARY SESSION 1:00 PM - 4:00 PM
場所:Hall B1 McCormick Place ,Chicago ,Illinois


Abstract LBA1:
Prospective pooled analysis of six phase III trials investigating duration of adjuvant (adjuv) oxaliplatin-based therapy (3 vs 6 months) for patients (pts) with stage III colon cancer (CC): The IDEA (International Duration Evaluation of Adjuvant chemotherapy) collaboration.

Qian Shi, PhD - First Author(Mayo Clinic Cancer Center)

 
 
   
当財団の症例集積状況
 
  JFMC49-1601-C5  症例集積中です!
      食道癌患者へのDCF療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討
      −エレンタール©非投与群を対照群としたランダム化第Ⅲ相比較臨床試験(EPOC2 study)−
 
詳細をみる
 

      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
詳細をみる
 
感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
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