(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.15
 
今月のコラム
 
岡 正朗氏

がん集学的治療研究財団
評議員
山口大学長
岡 正朗

 海外ではテロの多発により、多くの民衆が内向きの政策を望むようになっている。アメリカファーストと唱えるトランプ大統領が世界中に大きな嵐を巻き起こしているが、安倍首相の活躍もあり、日米関係は強固になりつつある。一方、北朝鮮問題や中国の日本近海での活動、さらには韓国の政治不安定など、我が国の周辺には大きな不安が渦巻いている。
 かかる状況下で、国立大学では、法人化以来、毎年、生活費である基盤的運営交付金が削減され、苦悩の経営が続いている。教育・研究の最高峰として、優秀な人材育成及び知財の源となる研究開発に懸命に取り組んでいるが、大きな陰りが見える。例えば、医学部出身の基礎研究者の大幅減や臨床論文の減少など、明確に見て取れる事例が多々ある。資源のない日本を持続的に発展させるためには、教育が必須であり、多くの研究がなされてこそ実現することは言うまでもない。「教育なくして成長なし」と安倍首相の宣言がある。ノーベル賞受賞者を毎年輩出しているのも、自由で裾野の広い教育研究環境、すなわち高等教育機関の存在があってこその成果である。OECD加盟国の中で日本の大学への投資は最低水準であり、さらに縮減を求めている現実があることに国民の関心は極めて低い。
 がん集学的治療研究財団(JFMC)は、抗がん剤を中心として国民に安全安心で効果のある治療を検証し、発信してきた。ディオバン事件をきっかけに臨床研究が見直され、日本医療研究開発機構が発足した。問題は、製薬企業が支援してきた臨床研究が営業の対価を求めたものとして報道されるに至り、大きく減少したことにある。日本の臨床試験は確実にその質を上げ、スピードも向上してきた。事実、JFMCが主導した治験は質が高く、短期間で終了し、1000例を超える大規模臨床試験においても同様で、国際的にも高く評価されている。この素晴らしい組織は製薬会社の委受託試験の激減により危機に陥っている。言い換えれば、がん患者さんに有効な治療を迅速に提供できる組織の弱体化である。
 この国の将来は、多くの研究から新たな価値を創造することに掛かっている。高等教育機関の財政危機は、研究の低下だけでなく、大学病院での臨床業務が多忙となり、臨床研究の弱体化を招いている。すなわち、臨床研究の危機は、それを担う人材の不足及び研究組織の弱体化の両面によるものといって過言ではない。国民にとって何が重要か、国の将来に何が必要かを考えれば、自ずから答えが得られると考える。

 
   
市民公開講演会を開催致しました!

会場風景1
 
会場風景2

平成29年2月8日(水)に「禁煙とがん治療」をテーマに市民公開講座を日比谷コンベンションホールにて開催いたしました。
当日は、現在社会で話題となっている受動喫煙防止に関して「オリンピックと受動喫煙防止法」と題して中央内科クリニック院長 松村弘康先生からご講演をはじめとして、当財団の常務理事であり、国際医療福祉大学 副理事長・名誉学長 北島政樹先生をお招きして、「先進がん医療とがん予防の最新の知見」と題しまして最先端の医療機器を使用したがん治療の現状や触感のあるラパロopeの実践等についてスライドを用いてご講演を頂き、参加者からは、「市民公開講座に参加して良かった」との声が多く、大変ためになる市民公開講座となりました。

講演の詳細については後日ホームページ上に掲載しますので、追ってご報告致します。

 
 
 
第1回利益相反員会を開催致しました!
 
第1回利益相反員会

本財団が研究者等の利益相反状態を適切に把握することにより、研究結果の発表及びそれらの普及・啓発を中立性と公明性を維持した状態で適正に推進させ、がん治療の進歩及び確立に貢献することを目的とする委員会となります。
メンバーには、委員長として岐阜大学大学院医学系研究科医科学専攻腫瘍制御学講座腫瘍外科学分野 教授 吉田和弘 先生と、梶谷総合法律事務所 弁護士 梶谷 篤 先生にご就任頂いております。

 
 
第3回医療機器委員会を開催致しました!
 
第3回医療機器委員会

去る2月23日に第3回医療機器員会が行われ、テルモ株式会社 顧問である、中尾委員長をはじめ、委員会顧問、委員、全員にご出席を頂き、今後の活動内容のご提案や、活発な意見交換が行われました。
また、本委員会では委員の中でワーキンググループを作り、具体的な活動内容等の打合せ会を行っています。

医療機器委員会メンバーはこちらから

 
 
当財団の症例集積状況
 
  JFMC49-1601-C5  症例集積中です!
      食道癌患者へのDCF療法時における成分栄養剤の口腔粘膜炎抑制作用の検討
      −エレンタール©非投与群を対照群としたランダム化第Ⅲ相比較臨床試験(EPOC2 study)−
 
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      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
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感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
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