(公財)がん集学的治療研究財団 メールマガジン「JFMCからのメッセージ」 vol.4
 
今月のコラム
 
佐治 重豊氏

がん集学的治療研究財団
理事長
岐阜大学名誉教授
佐治 重豊
桜イメージ
料理の良さは「素材と献立」で決まる:素材が良くとも献立が悪ければ!

 「がん」は遺伝子変異の蓄積で発生するため、変異の組み合わせ如何で多彩な性格を発揮する。それ故、新薬治験で立証された素晴らしい創薬でも、多剤併用が基本のため、単剤で普遍的な治療効果を継続することは困難である。一方料理でも、素材が如何に優れていても、献立や付け合わせやが悪ければ、美味しいとは言えず、顧客が離れる。同様に、新薬が如何に優れていても、他剤との組み合わせと投与方法が悪ければ、治療効果は期待困難になる。この貴重な創薬を、安全で安心して効果的に使用するための組み合わせを決める手段が、「市販後研究者主導型臨床試験(以下自主研究)」である。そうして、得られた結果はEvidence based medicine(EBM)として標準的治療に採用され、実地臨床で使用可能な治療法として汎用されるので、正に患者に直結する、極めて重要な役割を担っている。
 ところで、デォバン事件に端を発した医学研究に対する倫理規制強化で、制薬企業からの寄付が大幅に減少し、自主研究も委受託試験に制限された。問題は、利益相反との関係で、委受託試験でも利益誘導型試験は馴染まないとの理由で、企業提案の新規臨床試験は実施困難となった。勿論、対応策として日本医療研究開発機構(AMED)が創設され、多額の国費が投入されているが、多くは創薬開発段階までのトランスレーショナル・リサーチ部門で、市販後自主研究までには十分な配分ができず、結果的に「日本から臨床試験が消える」と危惧された。そこで、JFMC,JACCRO,OGSGが中心となり、昨年京都での日本癌治療学会総会で「特別緊急シンポジウム」を企画頂き、当財団からも理事の外山千也前厚生労働省健康局長、評議員の伍籐忠春日本製薬工業協会理事長(代理として医薬品評価委員会から稲垣 治委員長)にもご登壇頂いた。本シンポジウムは、都合180分間の長丁場で企画されたが、残念ながら時間切れの消化不良状態で終わった。それ故、引き続き情報発信と対応策の検討が早急に必要と考えている。
 勿論、当財団も多大の影響(寄付金:8割減)を受け、組織維持さえ困窮する状況となった。しかし、自主研究は臨床現場でがん患者さんに直結できる最も重要な部分で、特に、登録症例数が1000例以上の大規模臨床試験では、症例集積を予定期間内に確実に完了できる、日本でも数少ない組織で、国際的にも漸く高い評価が得られる様になった。そんな訳で、安全で安心できる効果的ながん薬物療法を患者さんに、確実に、早く提供するためには極めて貴重な存在で、その意味でも「今が危機」と自覚し、職員一同粉骨努力しています。メールマガジンをご購読頂いている多くの先生方には、是非、この現状を十分ご認識頂き、当財団が末永く存続・活躍できますよう、引き続きご支援、ご指導、ご鞭撻賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

 
第9回理事会を開催しました!

平成28年3月11日(金)に当財団の理事会が開催されました。平成28年度事業計画並びに収支予算および、新規臨床試験についてや、医薬品医療機器等法の改正に伴い新規委員会設立について等の審議が行われ、各理事の方々からは活発なご意見やご指導を賜りました。

会場風景1
 
会場風景2
審議事項:第一号議案:平成28年度事業計画並びに収支予算について
     第二号議案:寄附金等を財源とする臨床試験の今後の対応
           について
     第三号議案:新規臨床試験について
     第四号議案:医薬品医療機器等法の改正に伴う新規委員会
           設立について
     第五号議案:平成28年度一般研究助成について
     第六号議案:そ の 他
報告事項:1.第2回臨床研究開発・推進員会選考結果について
     2.研究論文支援委員会欠員補充について
     3.税務調査について
     4.市民公開講座開催について
     5.現在進行中の臨床試験について
     6.札幌がんセミナー講演者選考について
     7.今後の会議日程について
     8.そ の 他

平成27年度の事業報告については、内閣府等の承認後、ホームページ掲載する予定です。

過去の事業報告はこちらから
 
 
当財団の症例集積状況
 
  JFMC46-1201
      再発危険因子を有するStageⅡ大腸癌に対するUFT/LV療法の臨床的有用性に関する研究
 
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  JFMC48-1301-C4(ACHIEVE-2 Trial)
      再発危険因子を有するハイリスクStageⅡ結腸がん治癒切除例に対する術後補助化学療法としての
      mFOLFOX6療法またはXELOX療法の至適投与期間に関するランダム化第Ⅲ相比較臨床試験
 
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      ★今まで行われた当財団の臨床試験一覧についてはこちらから(詳細がPDFでご覧いただけます)

 
 
寄付支援のお願い
 
本財団ではQOL(Quality of life)を最優先にした「患者に優しい治療法」を確立するために臨床試験をおこなうことを主な使命とし、今後のがん患者さんの福音のために、その役割を果たしていく所存です。そのためには、皆様からのご支援、ご援助、ご理解が必要であります。
 
詳細をみる
 
感謝を込めて
 
ご協力を頂きました企業様には、ご支援のお礼を兼ねて各企業様のロゴマークを当財団の季刊誌であります、「がん集学財団ニューズ」や刊行物、ホームページに掲載させて頂き、御社のロゴマークから御社のホームページにリンクを貼らせて頂きます。
ご興味のある企業様はこちらから、下記メールアドレスまでお問い合わせください。          
 
 
お問い合わせ先・その他
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